こんにちは! ワークイズ代表の桑原祐介です。
先日、ある学生さんの相談を受けました。
最初は「まだ内定がもらえない」という内容だったのですが……
聞いているうちに、その方のメンタルな悩みが出てきました。
「もう就活をやめたい。このままがんばっても自分は内定がもらえず、就職浪人するような気がする」
これを読んで「甘い!」と思う方もいるかもしれません。
確かに、この時期まで内定をもらえなくても弱音を吐かず、明るくがんばっている学生さんもたくさんいます。
でも、12月から走り続けて何社も、何十社も面接を受けて落ちてきたら……疲れ切ってこんなことを言いたくなる気持ちも、わかってあげなくてはと思うのです。
だって、大人だって不景気の頃は「履歴書を何通書いたことか」「また面接で落とされた」と就職難を嘆いていたではありませんか。
中高年の自殺もたくさんありました。若い人が殊更に弱いわけではないのだと私は思っています。
とはいえ……
就活をやめたところで人生がよい方向になるわけでもありません。
どうにか自分を奮い立たせて、時にはストレスを発散し、時には悩みぬき、時には人と話したりして、どうにかするしかないのですが。
少し脱線しました。
いろいろ聞いてみると、その方のメンタルを追い詰めていたのは何と、親御さんでした。
親御さんもとてもとても心配なのだと思います。
学生さん御本人も、もちろんそのことはわかっていて。
でも、半年以上にわたる就活という未知の世界で疲弊し、出口が見えなくなっている学生さんにとって、その愛情を理解することは難しいケースも間々あります。
ありとあらゆるアドバイス、助言、思いやり、愛情……それら全てから背を向けたい、逃げたい、ひとりになりたい、という気持ちになるのも、無理のないことかもしれません。
「ここがまだ募集しているから受けてみたら?」
「仕事なんて就職できればありがたいと思わなくちゃ。やりたい仕事なんて言って選んでいちゃダメでしょ?」
「みんな就活がんばっているんでしょう? 家になんかいないで、もっとがんばりなさいよ」
こんな言葉が学生さんたちを追い詰めます。
何もわかっていない、何もわかってくれない、と。
「最近は就活の話題で親とケンカばかりしています。本気で親を殴ってしまおうかと思ったことも何度もあります。このままだと本当に両親を殴ってしまいそうで……」
先日の相談者は、ここまで悩んで追い詰められていました。
そして、このことを話せたのは、大学のキャリアカウンセラーと私だけ。2人だけなのだそうです。
どんな衝動があろうと、罪は罪になってしまいます。
どんなに抑えられなくとも、その衝動は抑えなさいと話す一方で、面接に落ち続けている本当の原因を探そうと話しました。
その後、しばし話を続けて、なぜ就活がうまくいかないのか、その出口を示す光を見出してもらうことができました。
御本人も、「今日はお話ができてよかった」と言ってくださいました。よかった……
「面接で落ちる」「就活がうまくいかない」ことによるストレスは、人によってはとても大きなものとなります。
それは、中高年でさえ自殺に追い込むほどの重さとなって人の心にのしかかることがあります。
ましてや20歳そこそこの学生さん。どうしていいかわからなくなり、心の平穏を保てなくなる人がいても不思議はありません。
周囲の大人がうまく受け止め、一緒に出口を考えてあげることで、救われる心があります。
大人だってそうでしょう?
自分の気持ちを、置かれている立場を、理解してくれない人に口をはさまれたくはないはず。
今回のように間違った衝動がある場合でも、一旦それを吐き出させることが大事だと思っています。
そんな衝動を持ってしまうからには、少なくとも一分の理は持っているはず。
そこに理解を示した上で、してはいけないことについては厳しく一線を引き、その上で向かうべき方向がどっちなのかを、本人の心の中から引き出してあげる……
押し付けるのではなく、本人の心の中から引き出すことで、本当に本人の心と一致した就活ができると考えます。
そして、本人の心の中から引き出そうとする姿勢が、相談者との信頼関係を築くことにつながるのではないかと思うのです。